5月に入り、ノアンのサンド一家は大荒れに見舞われていた。
原因はショパンが心配していたことが的中する…ソランジュ…。
ノアンを訪れていたのは彫刻家のクレサンジュだった。ソランジュに結婚を申し込みに来たのだ。
ソランジュはクレサンジュとの結婚を
「ショパンには関係ないから黙っていてほしい」とサンドに言い放った。
その頃、サンドの息子モーリスはパリからオランダを旅していた。
そして、事態は急変したのだ、ソランジュが
「いくつもの馬鹿なことをした!」と言って、川に飛び込んだのだ。
ソランジュは誰かの子供を宿していた。
それは、サンドに問いただされて、クレサンジュの子供だとソランジュは言ったことになっているのだ。ソランジュは一命を取り留めたがお腹の子供は犠牲になった。
前日にクレサンジュがソランジュとの結婚をサンドに承諾を得ていたところだった。
ソランジュも望んでいた結婚ではなかったのか…、ソランジュは母親サンドが選んだ男と結婚するように毎回追い詰められていたのか、まだソランジュは19歳だった。ソランジュは未成年者で結婚は親の同意書が必要だった。
サンドはソランジュのこの騒ぎで、慌てて
モーリスをオランダから呼び戻した。
ショパンはこの一件はモーリスかロゼールから聞いたのである。
サンドはロゼールと連絡を取り合っていた。
これを聞いたショパンまでもが体調を壊していたが、ショパンは回復に向かっていることをチャルトリスキ公爵夫人からの書簡でサンドは知ったことをロゼールに伝えた。
サンドの娘ソランジュの結婚問題はショパンには関係が本当はあったのだ…
サンドはロゼールに自分の真意を話した。
「私はこの事をショパンにどのように話すかは、あなたに任せます。」
ロゼールにショパンには本当のことを話さないようにサンドはロゼールに伝える。
「あなたは私に手紙を書いてくださいお願いします。ショパンは私たちのことを一番に考えています。でも、ショパンの気分を害するのが怖いので、あえて書きません。
ショパンがソランジュの結婚の考え(クレサンジュと結婚すること)を嫌うのではないかと心配しています。
私がそれについて言及するたびに、ショパンは不愉快なショックを受けるだろうということです。しかし、私は、
ショパンからそれを守ることはできず、私は自分のしたとおりに行動しなければなりませんでした。」
そして…サンドは最後にロゼールに自分の本心を打ち明けた。
『私はできない、
ショパンを私の家族の長とし、ショパンを私の子供たちの相談役にする、
そのような状況を私は受け入れないだろうし、私の人間としての尊厳は失われた。
おやすみなさい。
あなたは私に書簡を書いてください。』
ソランジュとショパンは他人だ、サンドとショパンもまた他人である、しかし、サンド一家とショパンはサンドを長とするならショパンは使用人、それでも家族のように暮らして来たのだ。
ソランジュがサンドを差し置いてショパンと恋すること、それは、サンドにとってショパンの裏切りなのだ。そして、
それは倫理に反する事であるのだ。
だから、サンドは自分の尊厳が失われたと嘆いたのだ。
これこそが、ショパンとサンドの関係が終わりを告げた全てが凝縮されたサンドの言葉だった。
自由奔放に生きてきたサンドだったが、 サンドは自分の子供の教育は出来なかったことをこの時やっと悟り悔やんだ。
ショパンはなぜソランジュを愛してしまったのか。
ソランジュはショパンがサンドに酷い目に遭わされないようにショパンを庇い、
ショパンの味方してきたロゼールは嘘はつけなかった。
Pianist由美子UNO が綴るショパンの情景
Pianist由美子UNOの感性が描くショパンの人生の旅のロマン このブログはPianist由美子UNOが全て手作業で行っており ショパンの物語の文章と画像はオリジナルです日々の出来事なども時折り皆様にお届けしております お楽しみいただけましたら幸いです
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