フレデリック・ショパン、ラジヴィウ家のパラダイスから既に心は本命パトロンへ…、最愛の友はただひとり…

♬ラジヴィウ邸宅の前の
🎶エリザ王女とフレデリック🎶

参考動画
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フリデリク・ショパン(1810-1849)
エリザ・ラジヴィウナ王女(1803-1834)
による 鉛筆画 1826年
フリデリク・ショパン(1810-1849)
エリザ・ラジヴィウナ王女(1803-1834)
による 鉛筆画 1829年

ラジヴィウ公の邸宅で、
ピアノとチェロのための「アリア・ポラッカ」[作品3として出版]を書き上げたフレデリック、つまり、2週間のうちの限られたひとりになれる僅かな時間に書いたことになる。
フレデリックはこの経緯をさらりと皮肉混じりにティトゥスに伝えた。
「このは曲は、単なる華麗に聞こえるための演出の連続に過ぎないのだ、
彼女のためのサロン小品。」
お姫様がサロンで体裁を繕えるための作品ということなのだ。
「当時、彼女にレッスンをしていた私だが、
うら若き17歳の美少女の小指を鍵盤に置くのがどんなに愉快だったかったかは神は知っている。
しかし、冗談はさておき、彼女は純真な音楽的感覚を十分に持っているから、ここで、だんだん強く、あそこで弱く、速い、遅いなどと言う必要はないのだよ。」
嫌味は常套手段のフレデリック、
つまり、フレデリックは、(エリザ姫は若くて美しくて、特別な姫君だから
充分な音楽的教養を身につけておられるため、無名の作曲家の私がいちいち口出しをする必要は無いのです、
ただ、彼女の小指は、
どうしたことか、鍵盤から離れて立ってしまうのか寝てしまい、いちいち私が手直してあげなくてはならないのだよ、)ということなのだ…。
しかし、姫君は注意をすればすねるし、何も注意しなけば「私に興味がないのかしら」と怒るし、わがままな姫君の取り扱い方法をフレデリックは知っているのだ…、
フレデリックは実はからかいながらも
時間潰しをしていた…。神は知っている、つまり、誰も知らないのだとからかい面白がっていたフレデリック…。
この程度のことで、フレデリックは楽に稼げてご馳走と贅沢なベッドにありつけるとは、なんというパラダイスだ!と思ったが、
我がままな姫君のご注文はだんだんハードルが高くなるというものである…
「私のポロネーズヘ短調[作品71、第3番]は、エリザ王女の興味をそそった。
ポロネーズヘ短調[作品71 第3番]を次の郵便までに送ってください。記憶から曲を書き出したくはないんだ。
プリンセスの性格は、私が毎日あの曲を演奏させられたことを考えると君にもある程度想像がつくだろう。
私は毎日あのポロネーズを弾かなければならなかった。
変イ調のトリオの部分ほど、エリザ姫を喜ばせるものはなかった。. . ラジヴィル公妃は私が5月にベルリンに来ることを望んだ。
冬の間、私がウィーンに行くことを妨げるものは何もないのだが私は12月前にウィーンへ行くことはないだろう。」 
毎日エリザ姫のご機嫌取りをしたフレデリックはエリザ姫とラジヴィル公妃に気に入られたのだが、翌年5月にはベルリンへは行かなかった、実際にフレデリックがポーランドのヴロツワフからドレスデンそしてプラハを経由してウィーンへ向かったのは翌年11月になるのだ。フレデリックは既に本命パトロンはラジヴィウ家からポトツカ夫人へと心が動いていたからだった…。

そして、ティトゥスという最愛の親友でありパトロンに愛を捧ぐ言葉を忘れずに追伸したフレデリックだ。
「パパの〈名の日〉が5日なので、おそらく12月末に行くことになることを期待しています。
もし、あなたが来る前に私が行くことになったら(でも、その可能性は低いと思う)、その時はまた書簡でお伝えします。
でも、その可能性は低いと思う。

私はあなたに会えること以外には何も望んでいません。

たとえそれが国外であったとしても。

私がワルシャワで一番欠けているもの、
それは信頼できる話し相手がいないことだからなのです。

あなたは私にこう言った。
私の肖像画が欲しいとおっしゃいましたね。

エリザ姫の肖像画を私がいただくことができれば、それをあなたに送りたい。

その肖像画は私に似ていると皆から言われました。

ミロシェフスキは肖像画を描く時間がないのです。

親愛なるティトゥス、あなたはとても私に親切です、
私はいつもあなたのことを考えています。

私が生きている限り
 
私は決してあなたから離れたくありません。
 
愛をこめて。
 フレデリック・ショパン」

そして、ラジヴィウ公邸宅に滞在中に毎日のように記憶を辿りながら、ヘ短調のポロネーズを弾いていたフレデリックだが、ティトゥスに早く原稿を送って欲しいと更に念を押した。
 「ヘ短調のポロネーズについて、もう一度思い出してほしい。
頼むから、あなたはいい人になって、次の郵便までに私に送ってください。
いくつか練習曲を書いたよ。
あなたがここにいてくれたら、うまく弾けるのに…」
ティトゥスにだけは心の内を明かすことが出来たフレデリックであった。

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フレデリック・ショパン作曲
ポロネーズヘ短調[作品71、第3番
ピアノ🎹サンソン・フランソワ(1924−1970)🇩🇪🇳🇱
フレデリック・ショパン作曲
ポロネーズヘ短調[作品71、第3番
ピアノ🎹リーヴィア・レーフ(1918−2018)🇳🇱
フレデリック・ショパン作曲
ポロネーズヘ短調[作品71、第3番
ピアノ🎹イアン・ホブソン(1952−)🇬🇧

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Pianist由美子UNO が綴るショパンの情景

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