わたしのお友達と別れの曲

転校生の私はひとりで学校帰りの公園に寄り道をして古ぼけた鉄棒の前に立っていた。

もう夕方だ、暗くなろうとしている。

鉄棒は興味がもてない、けれど、すこし練習してみた。この学校ではみんなが出来る。

ちょっとコツをつかめば逆上がりが出来た。けれど、それ以上は極めたいとは思わない。

人には生まれつき向き不向き好き嫌いがある。

空を見ると月が見えてきた。私は聴いたことがあるピアノ曲が頭の中に流れて来た。

ふと、前の学校で一番短かい間だったお友達を思い出した。

お友達の家に呼ばれて行くとお友達は私にピアノを弾いてくれた。

その数日後、彼女はどこかへ転校して行った。

彼女は私がピアノを習っていることを知っていてお別れに私のために弾いてくれたのだ、私

はそれを気が付かなかった。

彼女のお別れ会はなかった。ある日、突然先生が彼女は引っ越したことを皆に告げた。

その日から、誰も座らなくなった机と椅子が教室に残された。

どこへ行ったかもわからない短い間の私のお友達だった。

玄米茶を私に入れてくれた。

彼女にピアノがあったように、

私もひとりでもピアノがある。

ショパンもお友達がたくさんいてもひとりに感じていたのだろう。

Pianist由美子UNO が綴るショパンの情景

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