ショパンがノアンのサンドへ書簡を送った木曜日、ちょうどサンドから書簡が届いてしまい、またもや行き違いのやり取りが続いていた。
ノアンからパリまでの郵便事情は天候にもよるが5、6日はかかる。
書いて出したばかりのショパンはその5日後に返事を書いていた。
いつもは直ぐに返事を書くショパンだが、
サンドの書簡の内容が込み入っていたのか、よくよく練って書いた返事はそれとなく
忠告も交えているのだ。
「木曜日にあなたが送った親切な手紙を受け取りました。
だからあなたもポルトサンマルタン劇場のような戯曲を書いているのですね。
つまり、メロドラマをあなたは書いているのでしょう。
あなたの綱渡り芸はなんてとてつもなく面白い!コメディー・フランセーズ劇場とオペラ座の〈ドン・ジョヴァンニ〉を演じるオペラのように今では最もロマンチックなものに変わったのですね。」
サンドのノアンの館で上演する素人人形劇場のストーリーはサンドが台本を書いていた。
それはパリの劇場で上演されていたオペラを
真似して書いていたサンド…。
ショパンは何を思ってサンドのご機嫌をとって書いていたのか…お金のことを心配していたのであろう。
「(愛犬)マルキとディップの喜ぶ様子が想像できます。
私は確信していますよ、素朴で無学で読み書きが出来ない幸せな観客たち!
応接室のあなたのご先祖様の肖像画は、あなたを見下ろして何が起こっているか観ていますよ。」
寒い冬の間はノアンの村人をお客に招き入れ
サンド一家で素人コメディ人形劇を披露していた。
そして、サンドの愛犬だかショパンのそばにいつもいたマルキとディップ、元気なのか気になるショパン。
「あなたはできるだけ楽しんでくださいよ。
あなたは健康で幸せでありますように。
献身的なショパンより
あなたの愛する子供たちへ愛を送ります。
私は元気です」
ショパンのサンドへの書簡の追伸には必ずモーリスとソランジュへのこと気にかけていることをサンドに伝えるショパンだった。
子供と言ってもモーリスは23歳でソランジュはもう18歳だった。
子供の面倒見が悪く道徳教育を怠っていることをパリで批判されたことがあったサンド、
既に大人になってしまったモーリスとソランジュの行く末をショパンは心配していた。
去年の夏にノアンで素行が悪いモーリスに
忠告をしたショパンは、サンドの怒りを買ったことがあり、
この頃はサンドへの忠告も距離を置いて書いていたショパンだった。
マルチーズ犬 19世記頃
マルキもこんな風に可愛い子だったのだろう
Pianist由美子UNO が綴るショパンの情景
Pianist由美子UNOの感性が描くショパンの人生の旅のロマン このブログはPianist由美子UNOが全て手作業で行っており ショパンの物語の文章と画像はオリジナルです日々の出来事なども時折り皆様にお届けしております お楽しみいただけましたら幸いです
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