F・CHOPIN、ショパン、プレイエルとヴォジンスキ家の裏切り

プレリュード集とバラードとポロネーズの出版はショパンの計画通りには進まなかった。

プレイエルからは、約束通り≪プレリュード集≫のフラン版の出版は出来そうであったが、

ショパンがその他に打診したバラード、ポロネーズ2曲、スケルツォ第3番についての話は進んでおらず、ショパンはフォンタナに言った。「ユダヤ人のような扱いをプレイエルから受けるぐらいなら、僕は正統派のユダヤ人と取引することにするよ」正統派のユダヤ人とは

シュレジンガーのことだった。しかし、シュレジンガーはショパンから金を巻き上げて商売をしてきたとショパンは語ったのだった。それをショパンは承知の上で、プレイエルとの取引が上手く運ばない場合は、シュレジンガーまたはプロストと取引することをフォンタナに頼んだショパンだった。

そして、その前に、プレイエルのところへショパンが提示した金額が書いてある見積書をプレイエルにもう一度会って、プレイエルが考え直さないかフォンタナに頼んでくるよう提案したショパンだった。

それでも事が難しい場合、プレイエルに既にフォンタナが渡してしまったであろう、「バラードとポロネーズを取り返してくるように」とフォンタナに指示したショパンだった。

ショパンはプレイエルの事を「悪党どもめ!」と罵り、「神様!」と叫んだ。(神様、この悪党どもに罰を!)と言ったところであろう。

そして、プレイエルがショパンのことを偶像視していることをショパンは怒りを感じていた。ショパンはプレイエルが自分の商売の都合のいいように「ショパンは神様のような人です」と言っていることに嫌悪を感じるのだ。

ショパンは「私の曲はプレイエルが思っているような安い値段では本当ないのだ、私は神様でもないし、私はお人好しでもない!」ショパンは憤りを感じ、フォンタナに本心を打ち明けたのだ。

このことで、銀行家のレオに返すはずだったお金が直ぐに返せなくなりそうだったショパンは、フォンタナにレオにも会って交渉して来るように頼んだのだった。

そして、あのマリアとの婚約話は、ショパンの家族が戦後、ポーランドでどういう扱いを受けるかわからないことにショパンが心配していることに付け込んだ貴族ヴォジンスキ(ポーランド人だがロシア寄りのポーランド貴族)は結婚詐欺だった可能性がある。

なぜなら、ショパンはこの一件のことを、アント二イがショパンがパリにいない間に、

ショパンと約束していたショパンに返済するはずのお金をヴォジンスキ家が全員で踏み倒して、スイスに住んでいるヴォジンスキ家へアント二イが逃げたことは許しがたいショパンだった。

ヴォジンスキ家のあれほど連絡を取り合い、夏の間会っていたテレザ夫人とその娘マリア譲、そして、その兄アント二イのこと一家全員のことをショパンは指して言った。

「人を騙して、お金の契約を踏み倒すことが平気で出来る恐ろしい一家だ」

家族の愛情に恵まれないアント二イのことも、ショパンは同情したが裏切られたのだった。

「彼は馬鹿で、一家は冷酷な愚か者です。ヴォジンスキ家は血も涙もない奴らです」

ショパンは自分に正直に生きていた。フォンタナに本心を語ったショパンの救いは、マルセイユで健康が回復してきていたことだった。


ショパンの楽譜の最初のアメリカ版1860年

自筆譜 Chopin Prelude Op.28-15 "Raindrop" 雨だれ 

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Pianist由美子UNO が綴るショパンの情景

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