F.Chopin、有名人ショパンを独占しようとするスターリング嬢の欲望から逃れ広い部屋へ引っ越すショパン、スターリング嬢には創作意欲が湧かないショパン…

スターリング嬢スケッチ画とショパンの写真から、イメージ
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ショパンのロンドンやスコットランドでの滞在費など誰が本当は支援していたかは、
真相は不明だが、明らかなことは、ジェーン・スターリングと姉のキャサリン・アースキンは、ショパンのロンドンやスコットランド訪問を勧誘し終始付きまとっていたことは確かのようだ。
スターリングが有名人ショパンに取り付いている様子を見た社交界の人々は、ショパンはスターリングと結婚するのではないかと噂するようになり、ショパンはスターリングの罠に嵌められていくことに気がつきながらも、
お金のないショパンはスターリング姉妹が用意したお金になるから、という仕事に従わざる得なかった。ショパンは、お金がなかった…、ショパンにとって地の果てのように感じる土地で、スターリング姉妹が集めて来たお客の前で慰問演奏をする巡業のような日々はショパンの健康と精神を蝕んだのだった。
スターリングのショパンへの執着はショパンが仕事をする上でどこからどこまでが契約なのか曖昧であった、そのためスターリングの過度な監視と束縛をショパンは次第に恨むようになっていった。
スターリングは有名人ショパンと付き合う自分の他者への優越感に溺れ、有名人と付き合う人によく起きる、有名人を自分だけのもののように意のままに独占したい、という欲望にスターリングは打ち勝てなかった。
そのため、ショパンが近づこうとする他者、あるいは、ショパンに近づいて来る他者にショパンの気持ちを奪われないようにするためにショパンを人里離れたスコットランドの田舎に連れて行ったり、ショパンにお金のためと言いながら、ショパンの健康を無視した
ショパンにとって残酷な移動スケジュールを組み、ショパンを連れ回したスターリングだった。ショパンはそのスターリングの身勝手な行動を呪いながらも、その罠に嵌められて行くしか道がなかった。
……さて、話しを戻そう…。ロンドンに到着してから、スターリング姉妹が最初にショパンのために用意した部屋は有名人ショパンの格には似合わない粗末な部屋だったのか、恐らく、狭い小さな部屋だったのだ…。
その小さな部屋で、ショパンが休息を取ろうとするやいなや、
スターリングが部屋のドアを叩きに来ては、『ショパンさん、これをお飲みください』『ショパンさん、お着替えを手伝いましょうか、』『ショパンさん、何かお手伝いしましょうか、』『ショパンさん、眠くはないですか、』『ショパンさん、このお薬を飲んでください、』『ショパンさん、誰に手紙を書いているのですか、』などなど、ありがた迷惑なタイミングでしょっちゅう干渉され、ショパンは息を自由にすることもままならず、ショパンは気の休まる暇がなかったのだ。
ましてや作曲などという創作意欲が湧いて来る暇など到底ないのだ。
兎にも角にも、ショパンはグシマーワに到着した直接に引っ越しを宣言し、その9日後には、パリに居るフランショームに引越しが完了したことを報告した。
「ここに私はようやく落ち着きました。
大きな部屋に引っ越しました。
その部屋の中で 、
今日初めて太陽が私を見に来てくれました。
今朝は息苦しさを感じませんでしたが、
先週は何の役にも立ちませんでした。」
やはり、スターリングの監視に息苦しさを感じていたショパン。スターリング姉妹が用意した先週の部屋は最悪だったとフランショームに話した。
そして、自分の気持ちをいつも天気や自然に当てはめて表現するところは昔から変わらないショパンなのだ。
「あなたはお元気ですか?あなたの奥さんや愛する子供たちは?やっと平穏になってきたのではないでしょうか?」
2月革命後、パリは平穏どころか、刻々と水面下でこれから起きる6月の暴動前の不気味な静けさの漂う日々が続いていた。グシマーワにも尋ねたように、治安の悪いパリを心配しフランショームにも安否を気遣うショパンだった。
 「私は今のところ何もしていません。面倒な訪問を何度かしましたし、(紹介の)手紙もまだ届けていません。
些細なことで時間を無駄にしています......」
スターリング姉妹が『ショパンさん、なぜ、引っ越しされたのですか、理由をお聞かせください、私たちに何か不備がございましたか?』などなど、しつこく訪ねて来て聞かれるのだ。
このような話しの相手をすることはショパンには無駄な時間なのだ。なぜか、ショパンは音楽家だからなのだ…。
孤独に耐えるのは寂しい、しかしうるさいのは勘弁なのだ、ショパンは静かに過ごしたいのだ…ショパンは前フランス国王フィリップの側近たち、一人一人の訪問は面倒であったとフランショームに話した。
そして、大事な紹介状の面会が、スターリングの邪魔が入るため、肝心なことに時間を割くことが出来ていないのだ。
「だから、あなたはそこにいるのです 。私はあなたを愛しています......今はそれだけです。」
パリは情勢が悪いが、ロンドンではまた別のわずらわしさを感じていたショパンだった。
だから、フランショームに君はパリにいた方がまだましだと伝えた。
パリでグートマンが手助けしてくれていた時間の有り難みを感じるショパンは、グートマンが居てくれたら良かったのだか、グートマンのようなさりげない気遣いができる紳士がロンドンに居るショパンの側にはいなかった。

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Pianist由美子UNO が綴るショパンの情景

Pianist由美子UNOの感性が描くショパンの人生の旅のロマン このブログはPianist由美子UNOが全て手作業で行っており ショパンの物語の文章と画像はオリジナルです日々の出来事なども時折り皆様にお届けしております お楽しみいただけましたら幸いです